診療のご案内

 ABC検診(胃癌ハイリスク検診)

胃を直接診るのではなく胃癌になり易いかなり難いかを診る検診です

「ABC検診」は、胃に癌があるかないかを直接診るのではなく、胃癌になり易いか、なり難いかを診る検診で、「胃癌ハイリスク検診」とも呼ばれます。

血液を採って、胃の中にピロリ菌が居るかと胃から出るペプシノゲンという物質の状態を調べます。ピロリ菌は子供のうちに胃の中に住み着き、その後何十年も居続けます。ピロリ菌が長い間居ると、胃の粘膜に萎縮という変化が起こり、萎縮すると癌ができやすいということが分かっています。ペプシノゲンを調べると胃粘膜の萎縮の程度が分かります。

胃の中にヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)が住みついていると、萎縮の進行が速まります。
ですから、ペプシノゲンⅠとⅡの比率と胃の中のピロリ菌の有無を組み合わせれば、胃がんにかかりやすいかどうかがより良く予測できるというわけです。
ペプシノゲンとピロリ菌の有無は共に血液検査でわかります。

このピロリ菌の有無とペプシノゲンを組み合わせてABCD4つのグループに分けて考えます。

A群
ピロリ菌が居なくて、萎縮も殆ど無い。胃癌になるリスクは非常に低い
B群
ピロリ菌は居るけれど、萎縮は軽い。胃癌のリスクはやや高く、毎年1000人に1人が胃癌になる
C群
ピロリ菌が居て萎縮もある。胃癌のリスクは高く、毎年400人に1人が胃癌になる
D群
萎縮が進んで、ピロリ菌が住みづらい環境となり、菌が消えた状態。胃癌のリスクは非常に高く、毎年80人に1人が胃癌になる

注)D群は長い間ピロリ菌が存在して、胃粘膜を荒らして最終的にピロリ菌も住みにくい環境になり、消えてしまった状態です。

従って、Bグループ以上になったら精密検診を受けた方が良いわけです。
この検診の長所は自分が将来的に胃癌にかかるリスクが高いか低いか分かることで、例えば、A群の人は毎年バリウムを飲む胃の検診は不要ですし、D群の人は毎年胃カメラによる精密検診を受けて、早期発見すれば胃癌で命を落とす事も防げます。

日本は約6000万人がピロリ菌に感染していると言われ、毎年新たに10万人が胃がんと診断され、5万人が胃癌で命を落としています。